1.「論点整理」から

 

「論点整理」では、学習指導要領の在り方について言及しています。

 

 

「社会に開かれた教育課程」を実現するという理念のもと、学習指導要領等に基づく指導を通じて子供たちが何を身に付けるのかを明確に示していく必要がある。

 

 

そして、子どもたちの「真の理解、深い理解を促すため」の学習のプロセスとして、次のように述べています。

 

主題に対する興味を喚起して学習への動機付けを行い、目の前の問題に対しては、これまでに

獲得した知識や技能だけでは必ずしも十分ではないという問題意識を生じさせ、必要となる知識や技能を獲得し、さらに試行錯誤しながら問題の解決に向けた学習活動を行い、その上で自らの学習活動を振り返って次の学びにつなげるという、深い学習のプロセスが重要である。また、その過程で、対話を通じて他者の考え方を吟味し取り込み、自分の考え方の適用範囲を広げることを通じて、人間性を豊かなものへと育むことが極めて重要である。

 

 

 また、人生を主体的に切り拓くための学びとして、主体的な学びの鍵になる教育活動として次のように示しています。

 

 

学校教育に「外の風」、すなわち、変化する社会の動きを取り込み、世の中と結び付いた授業等を通じて子供たちにこれからの人生を前向きに考えさせること

 

 

 

 

2.私たちの教育実践という財産との関連は

 

学習指導要領の在り方を検討する所以として、「子どもたちが学びに関して持っている潜在的な力を、教育を通じて洗練させ、教員自らもその力を発揮し、教室や社会で共に生き生きと活躍できるようにするため」としています。

 

「真の理解、深い理解を促すため」の学習の在り方が示されるなど、学校の学習活動の在り方を示すだけでなく、学習活動を通して子どもたちの「社会で生きていくために必要となる力」を身につけるべく、学校教育に「変化する社会の動きを取り込」むことをめざしていることがわかります。

  

学校の教育活動は、地域や学校の特色ある活動が教育課程に位置付けられています。一方で、学力向上に関する施策に取り組んだり、子どもたちが抱える今日的課題を、学校を中心にした連携で課題解決を図るなど学校に求められる業務の幅は広がっていて、教師の多忙化にもつながっていたりします。

 

「論点整理」が示すような授業を行うことができる環境は、教師にとって理想です。しかし実際には、取り組まなければならない課題が山積しています。また、「論点整理」などが述べている理想の姿は、必ずしも理想ではなく、すでに取り組まれているものもあるはずです。

 

次期学習指導要領改訂に向かっては、「変わるから何をどうする」という議論よりも、「いま、ここまでできている」というように、我が校の教育活動を建設的に振り返る視点が欠かせないのではないでしょうか。