1.はじめに


中央教育審議会が、学習指導要領に向けた「審議まとめ案」を出しました。
時数増や、外国語・道徳の教科化など、目立った変更点があるため、報道ではそちらに重きが置かれています。
次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ(素案)のポイント」では、


「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」の視点から学習指導要領の要であり、教育課程に関する基本原則を示す「総則」を抜本的に改善し、必要な事項を分かりやすく整理。


とあるように、次期学習指導要領は、記述面・性格面にも大きな変化があるようです。

そこで、遅ればせながら「教育課程企画特別部会 論点整理」にある、学校像や子ども観を確かめながら、これからの教育の向かう方向性を確かめることにしました。

学習指導要領が、全面実施から次の改訂まで、ほぼ10年周期だということがあり、論点整理では2030年の社会と子どもたちの未来という観点から、予測が困難な将来において、子どもたちに必要なこと、そのために学校に求められる視点が示されています。

 

2.「論点整理」から


【子どもという観点で】


主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していくことが重要である。
社会的・職業的に自立した人間として、伝統や文化に立脚し、高い志と意欲を持って、蓄積された知識を礎としながら、膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、自ら問いを立ててその解決を目指し、
他者と協働しながら新たな価値を生み出していくことが求められる。

子供たちが、身近な地域を含めた社会とのつながりの中で学び、自らの人生や社会をよりよく変えていくことができるという実感を持つことは、貧困などの目の前にある生活上の困難を乗り越え、貧困が貧困を生むというような負の連鎖を断ち切り未来に向けて進む希望と力を与えることにつながるものである。

 

【学校という観点で】


子供たちに、新しい時代を切り拓ひらいていくために必要な資質・能力を育むためには、学校が社会や世界と接点を持ちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことのできる、開かれた環境となることが不可欠である。

〔論点整理「1 2030年の社会と子供たちの未来」より〕

 

3.私たちの教育実践という財産との関連は


新自由主義による個人主義、競争原理が私たちの生活に浸透しています。こうした中で、子どもたちが抱える困難性が複雑になっているという事例は学校現場にたくさんあります。ケースごとに事情は様々で、教職員をはじめとしたネットワーク体制でフォローしている実践もよく聞くようになってきました。


「チーム学校」という言葉が出されてしばらくたちます。教職員と、学校を応援する様々な専門家が手を結び、子どもたちのために寄り添うことことの必要性は、前段落で挙げたような事例が物語ります。


私たちは、「論点整理」が示している「未来の姿」や「未来に向かうの視点」と、現在の学校現場の創造的な営みを結びつけながら、「うちの学校の『学校づくり』の現在すでに存在する財産」を整理していくことが大事ではないでしょうか。
同時に、私たちが宗谷の教育運動のうえで大切にしてきた「教育課程づくり」の運動の歴史も振り返る必要があります。