私たちが教育実践を紡いでいる北海道の最北端・宗谷地方には「民主的学校づくり」という考え方があります。その時代の社会情勢や教育課題に向き合い、憲法と47教育基本法、そして子どもの権利条約に立脚した教育運動です。宗谷の教職員は、保護者や地域のみなさんとともに、目の前の子どもたちの成長・発達を保障するという考え方を先輩教師の後ろ姿から学び、そうした営みが繰り返されて今日に至っています。


また、「民主的学校づくり」という考え方を、より具体的で実践的にしたものに「教育課程づくり」というものがあります。ひとつひとつの学校の教育の羅針盤である「教育課程」を、学習指導要領や、それをもとにした教科書学習を淡々と進めるためだけの指導計画ととらえるのではなく、地域の実情や父母の願い、子どもたちの様子など、学校のまわりのすべての要素を踏まえ、その学校の教職員集団が一丸となって考えるというのが「教育課程づくり」です。


 これから数年の間に、日本の教育が大きく変わろうとしています。2020年に予定されている学習指導要領の改訂と、それに先立つ「道徳の『教科化』」があります。宗谷教職員組合では、教育研究運動の一環として今後5年以内に起こる教育の大きな変化について、組合独自に研究する必要があると考えました。少しずつ、道徳の「教科化」と学習指導要領改訂に関して、現場の教職員の課題意識をもとに考えていくべき視点についてまとめていきます。