新年度がスタートすると同時に、学校再開をする北海道。

4月1日を節目に、学校では異動してきた先生の引っ越しをして、今年度のオールスタッフの顔合わせをして、子どもたちを迎える準備を必死に進めているところですね。きっとこの週末は、休日返上で新学期の準備をしている先生もいるのではないでしょうか。

 

宗谷教職員組合では、4月1日に管内一斉に「春の学校づくりの懇談資料」を各校長先生に提出します。これは、形を変えてながらもう30年以上にわたって大切にされてきた取り組みのひとつです。私たちが大切にしている「民主的学校づくり」という考え方を改めて確かめ合うものです。


学校は保護者・住民の教育への願いに応える教育活動を豊かに進めることが基本です。そのために一人ひとりの教職員の専門性・自主性が尊重されることが大事です。子どもたちの人格の完成をめざして全教職員が力合わせをします。 


こうした普遍的な考え方とともに、授業づくりと集団づくり、そして学校づくりについてまとめています。宗谷の大先輩からは、「困ったときはこの懇談資料に立ち戻る」ということを教えられています。

 

困ったことといえば、なんといっても新型コロナウイルスの脅威があります。

マスクをする…一口にいっても、購入することもままならない状況です。

毎日マスクをしつづける…ということが当面の間続くということが登校の壁になることもあるかもしれません。また、宗谷のように感染者が出ていない地域でも感染に対する不安の声はたくさんあります。

こうした中で、道教委は3月27日付で学校再開について次のように示しました。

  

感染拡大のリスクを高める環境(換気の悪い密閉空間、人が密 集している、近距離での会話や発声が行われる、という3つの条件が同 時に重なった場)を極力避けるため、こまめな換気や手洗いの徹底はもと より、咳エチケットを確実に行うために、学校の教職員を含む全員がマスクをして学校生活を送ることが重要である(後略)

 

  

学校再開については、様々な思いがあるでしょう。

 

感染予防のために登校を自粛させたいという保護者の方の思いがあるかもしれません。

「そもそも学校を再開すべきではない」という考えもあるかもしれません。

ウイルスという見えない脅威を前にして、様々な思いが交錯するのは無理もないでしょう。

 

こうした中で私たち教職員は、道教委の学校再開の方針を受けて、子どもたちが子どもたちらしくあるための学校づくりについて考えていかなければなりません。

その際に大きな道しるべになるのが、冒頭で書いた「春の学校づくりの懇談資料」です。

 

学校再開をするにあたり、各学校では先生方がたくさん悩みながら始業式を迎えようとしています。

 

ある学校では「マスクがないことが登校の妨げにならないように…」という思いから、みんなでハンカチマスクの作り方や咳エチケットについて学ぶ保健指導から1年間をスタートすることにしたといいます。

また、ある学校では「とにかく子どもたちの声を聴こう、寄り添おう」という方針を立て、4月中のあらゆる取り組みを取りやめ、教室で先生と子どもたちがゆとりをもって授業や学級活動をすることにしたといいます。 

 

最も、コロナの脅威がいつ猛威を振るうかわからない状況で、北海道でも再び一斉休校がある…かもしれません。こうした方針は「いけるところまで、子どもたちを真ん中に据えて学校づくりを進めていこう」という決意のようにも感じます。

明日の社会のあり様について予想がつかない中で、新学期を前にきっと子どもたちも複雑な気持ちでいるはずです。クラス替えが気になる…といったいつもの新学期のような思いもあれば、体力的に1日持つのかどうかとか、家にいるほうが楽だとか、そんな思いがないわけではないでしょう。

 

だからこそ、私たちは子どもたちに「学校、来てよかったな。やっぱり学校って楽しいな」と思わせることができるような学校づくりを進めなければなりません。

それは逆に「子どもたちのことを考えたら、これ以上学校を続けるのは危険です」という意見を言う立場をとらなければならないことにもなるかもしれません。もちろん、そんな情勢にならないよう願うばかりですが。

教職員組合は、そんな力合わせを後押ししたり、価値づけたり、発信をする存在です。

 

2020年度のスタート、みんなで力合わせをして学校づくりを進めましょう!