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ブログ「言の葉」HEADLINE

道内における全国学力・学習状況調査の市町村別結果公表について【1】

 全国学力・学習状況調査の結果公表についての記事が道新に掲載されていました。
 道教委は各市町村教委に「市町村別結果のレーダーチャート」の公開に同意を求めていました。
 その結果が報じられています。



 市町村別・学校別の公表が行われると、学校の序列化や過度な競争に拍車がかかります。静岡県では、文部科学省によって制定された実施要項を県知事が無視して独断で結果を公表するなどの混乱が見られました。

 道新の報道によると、179市町村のうち84市町村が結果を公表することに同意したとされています。

 道教委のホームページに公開されている「管内市町村別学校数」をもとに、学校数を基準とした市町村規模ごとにデータをまとめてみました。

 黄色で色づけしたセルは「学校数が街に2つ」という市町村。具体的には「街の中心校」と「もうひとつの学校」というイメージです。そして、赤色で色付けしたセルは「学校数がひとつ」という市町村。小・中学校それぞれ「街の中心校」だけという市町村です。

 こうした市町村、特に赤色で色づけした市町村では、市町村結果の公表が、学校のデータとなってしまいます。

 宗谷教組では、学力・学習状況調査の結果公表については以下のような点が留意されるべきだと考えています。

  1. 市町村内の学校数が少ない場合や、市町村の規模により児童・生徒数が多くないなど、小規模な市町村では、結果公表による学校の序列化が子どもたちの自己肯定感にも影響を与えることが懸念されます。
  2. 市町村別結果の公表は、子どもたちに競争と格差という考え方を突き付けることになる場合があります。
  3. 市町村あるいは学校別の結果公表は、チャレンジテストに代表されるテスト偏重の授業づくりにつながり、その結果として教職員が知恵を寄せて編成した教育課程や教育実践が軽視され、テストの点数を取るための教育課程編成が進められることへの心配があります。
  4. 25年度の学力・学習状況調査の考察では、自ら設定した課題を解決する探究的な学びや、他者との協同的な学びの有用性について言及しています。数値的な結果のみに留まらず、こうした考察を参考にしながら、子どもたちが主体的に学ぶことができるための、授業のあり方や教育条件整備の前進について考えることを意識していくべきです。
各教育局管内ごとに、多少のばらつきがありますが、市町村に小中1校ずつの学校でも、市町村別結果の公表に踏み切っている場合があることがわかります。


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2014年10月28日