学習指導要領改訂に向けた教育課程づくりの学習を1学期の中で進めてきました。

 

宗谷教組の10の支部をまわったところで夏休みを迎え、学習は2学期はじめに向かいます。

 

そんな中、この学習会から生まれた「スピンオフ企画」として、「小学校道徳教科化に向けた学習交流会」を8月5日に行いました。

 

 

 

利尻富士・礼文、そして稚内。ゲストに札幌から柳憲一先生を迎え、全部で9名で約4時間にわたって学び合いました。

 

教職員組合運動の中で、何かひとつのテーマを決めて教育実践のあり方を話すという経験はなかなかなく、それだけでも新鮮で、そしてこれからの教科化に向かう視点をいくつかも持つことができる貴重な機会となりました。

 

 

 

本当に様々な話題になりましたが、気になった点をいくつかまとめます。

 

 

 

まずは、「道徳性」のこと。

 

学習指導要領にも「道徳性」という言葉が出てきますし、私たちも使いますし、道徳教育に慎重な立場の論文を見ても「道徳性」という言葉は出てきます。まずはこのことを話題にしました。

 

すなわち、「自己の生き方」だけに留まる道徳なのか、社会問題や仲間との関わりまでをも含んだ道徳なのかということを話しました。私たちが日常の中で、例えば休み時間のあとで友達どうしのトラブルを解決しようとしたときに、おのずと“人と人とのかかわり方”であるとか、話が絡まり合っている時には学級という社会性の中で解決を図ることがあります。これも「道徳性」であるはず。もっと言えば、道徳性の教育の日常性であるはずです。そんなことを道徳教育に生かす「道徳性の教育」ができないかという話をしました。

 

 

 

そして、「読み物教材」の話題に。

 

どうしても、読み物教材を内容項目と関連させて読んだらなんとなく「ええ話や…」と大人でも思いがちです。しかし、そこにある客観性や、題材としての扱い方の問題、主人公を取り巻く矛盾などにはなかなか気づきにくいものです。そして、教師用指導書を見ると、こうした部分は話がずれるので扱わず、内容項目に向かう議論をすると書いてあるものもあります。

 

こうした状況の中で、「読み物教材」をどう扱うかということを実際に教材文をもとに話しました。

 

参加した先生からは、導入で読み物教材を使ったとしても、授業の最後には「あれ、俺たち何の話から勉強始まったんだっけ」くらいに、実際の子どもたちの日常に還していくような授業ができればいいな…という指摘もありました。

 

 

 

さいごは、年間指導計画のこと。

 

年間指導計画や別葉は、ものすごく細かく書くと望ましいような例が出ています。そして、その例を見ると、機械的に道徳が要となるように各教科の学習を結んでいるものも見られます。

 

一方で大切にしたいのは、やはり目の前の子どもたちの実態、学校が大切にしている教育活動や学校文化だということ。子どもたちの学びの軸はやはり自分たちの生活であり、学校の営みであることを忘れないで教育活動をしていくことが大事、そのうえで別葉にあるような横断的・総合的な学習がなされるといいんじゃないかということで学習会を閉じました。

 

 

 

宗谷教組では9月をめどに、こうした学びを踏まえて学習資料を発刊します。

 

「この内容項目はこんな指導案で」というものにはなりません。それは、各学校で考える教育課程づくりの観点だからです。しかし、ここでも触れたような「教科『道徳』をこんなふうに教育的に考えて、私たちがこれまでも大切にしてきた『道徳性の教育』をよりよく進めてみませんか?」というものにしていきたいと思っています。