宗谷には、ほかの地域にはなかなか見られない教育文化がいくつかあります。

長い歴史の中で、先輩教師が考えたり、力合わせをしたり、それを受け継いだリしてきた、いわゆる「宗谷の教育」というものです。 

 

 

よく、「宗谷の職場はいい人が多くて、居心地がいい」と言いますし、言われます。

 

学校の先生の仕事というのは、子どもたちを担任ひとりで育てるのではありません。学年の先生・職員室の先生・保健室の養護教諭…だけでなく、給食配膳員さんや用務員さん、交通指導員さんやスクールガードの地域の方などたくさんの目があって、子どもに声かけしてくれて、子どもたちは安心して学校に通い、学ぶのです。

 

 

そういう意味では、普段からいい関係であることは大事だし、困っている先生がいれば、「どうした?」「こういうふうにしてみようか」と話したりするものです。

 

 

ある職場で、若い先生が授業について悩んでいました。

 

研究担当の先生にちょっと相談したところ、「どんな授業にしたいんだい?」と。

 

「例えば、こういう切り口もあるよね」「そういえば、こんな考え方もあるよ」などと、夜遅くまで話を聞いてくれました。その研究担当の先生は、子育て真っ只中で、家事もあるでしょうに、若い先生の悩みにとことん付き合ってくれました。

 

 

また、別のある学校では30代半ばの先生が、初めて宗谷に赴任したような若い先生を「稚内で勉強会があるから、一緒に行こうよ。ついでに美味しいもの食べてこよう!」と誘うことが伝統になっています。

 宗谷には、「宗谷の先生なら、これには参加しようよ」という学習会などが年に数回あります。そうした場って、参加したら勉強になるものの、なかなか億劫だったりします。だからこそ、「ついでに美味しいもの食べに行こう?」って誘い合っているようです。

 

 

 

 

このような、ちっぽけなことが宗谷のあちこちの学校の職員室で実践され、「民主的学校づくり」という考え方は、今に受け継がれてきています。

 

 

 

先生方の多忙さが、「まるでブラック企業だ」というように報道されるようになってきました。 

10年、20年前は、今よりゆとりがあったのかもしれません。もしかしたら、これから先はもっと違う大変さがあるのかもしれません。

だからこそ、このような「つながり・関わり合い」を大切にしていきたいものです。

 

民主的で、誰もが子どもたちのために力合わせできる学校づくりは、管理職によってもたらされるものではなく、一人ひとりの先生方の気遣いや心配りでなされていくものです。

 

 

 

もうすぐ3学期がはじまります。

卒業・進級の取り組みには力合わせがつきものです。子どもたちの春からの一歩に向けて華やかになるこの時期を、先生方のあたたかな力合わせで、素晴らしいものにしていきましょう。