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ブログ「言の葉」HEADLINE

学校統廃合と、「地域と学校」のこと

朝のニュースで「学校統廃合」の話


小中学校の学校統廃合の規準を見直し、学校統廃合を推進する…という報道がされました。
5月27日朝のNHKニュースや28日の読売新聞web版が報じています。

経済財政諮問会議という会議があります。経済財政政策に関し、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮させるとともに、関係国務大臣や有識者議員等の意見を十分に政策形成に反映させることを目的として、内閣府に設置された合議制の機関…とのことです(リンク先より抜粋)

経済的な視点で教育について論じたところ「児童・生徒数が減るんだから、教員の採用抑制をするべき、通学距離を撤廃し、学校を統廃合し集約すべき…という」という考えが明らかにされたというところが事実のようです。




効率化だけじゃなく…


この説明の中で、教員一人当たりの児童・生徒数が将来にはOECD平均並みまで減少するという資料が用いられています。欧米の各国の人数も合わせて出されていますが、一方で全教が進める「えがお署名」には同じような国々の少人数学級の状況が出されています。



日本は40人(一部、35人)学級を制度として維持し、自民党政権は少人数学級の前進を見送っています。一方で、欧米諸国の学級編制は日本よりも少ないものになっています。
こうした状況を踏まえず、数の論理で効率化の視点のみで教員数について論じることに違和感を覚えます。

「教員の質と数、学校配置の適正化」と、文部科学副大臣


一方、経済財政諮問会議では西川副大臣は「2020年教育再生を通じた日本再生の実現に向けて」の中で、一定の教員の「数」は質の向上とともに必要だと反論しています。



しかし、学校統廃合に関しては、小規模校特有の課題などから「学校規模の適正化の推進」を図る立場をとっています。

残念なのは、学校は地域の中心であるという視点が全くないことです。
宗谷…だけでなく北海道には学校が地域の中心になっている集落がたくさんあるはずです。
今は運動会のシーズンですが、地域のみなさんと一緒になって地域の運動会をしている学校もあります。(道新「地域一体「最後の運動会」 生徒6人の稚内西中)

こうした学校文化や地域のコミュニティという視点はどうなってしまうのでしょうか。

国主導の教育施策が進む!?


教育委員会制度改革が国会で議論され、国・都道府県の政治的意図が市町村の教育委員会や各学校に直接反映され兼ねない危うい情勢があります。
教育委員会制度が変わり、この「効率性の観点から学校の統廃合を進める」という国の施策が実施された場合、多くの地域から学校がなくなることも考えられます。

私たちは、教職員として学校づくりに日々奮闘をしています。
しかしそれだけではなく、地域とともに今は当たり前に存在している学校について、地域と学校の在り方について考える視点を持つことも大切にしていきたいものです。


2014年5月28日