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ブログ「言の葉」HEADLINE

お蕎麦屋さんの「区別と関連」

冬休みにテレビを見ていて考えた「組合用語」の『区別と関連』についてです。
このお蕎麦屋さんはかつ丼が美味しくて、来るお客さんのほとんどは蕎麦ではなく、かつ丼を頼むといいます。それでもお蕎麦屋さんのご主人は、作る蕎麦に誇りがあるのでしょう。“かつ丼のついでに”紹介されていた蕎麦もとても美味しそうなものでした。

どういうわけか、時間にしてわずかしか出てこない、このお蕎麦屋さんがとても印象に残っています。 このお蕎麦屋さんのご主人の、「蕎麦屋だ」という心意気の強さに魅かれたのかもしれません。

「かつ丼が美味しい」という評判があるのであれば、それを店として大々的に広めることもありなのかもしれません。 しかし、それをしないで蕎麦を作り続ける姿勢には「蕎麦屋だ」という誇りのようなものを感じます。

組合用語に「区別と関連」という言葉があります。ちょっと理解が難しい言葉。なおかつ大切な考え方のひとつです。このお蕎麦屋さんの「もしも」の話。
「かつ丼が美味しい」んだから、かつ丼専門店を開くということも考えられます。かつ丼が売れていることから学んだことを、お蕎麦屋さん業界(?)に説いていく…なんていうこともあるかもしれません。

前者は「区別」、後者は「関連」の考え方に立つものなんだと思います。そしてこの、「区別と関連」のバランスが大事なんだなぁということです。

テレビで紹介されていたお蕎麦屋さんのご主人は、「かつ丼が美味しい」ということと、「蕎麦屋だ」ということをしっかり『区別』しながら、「うちは蕎麦屋だけど、おいしいかつ丼もあるよ」というように、つつましく関連づけています。ここだと思うのです。「区別と関連」のバランスです。

2014年1月20日